Dickens and Christmas

ディケンズのクリスマス精神を代表する作「クリスマス・キャロル」の挿絵より

この物語の主人公、守銭奴スクルージ〔左〕は、クリスマス・イーヴにかつての同僚の亡霊や精霊たちの来訪をうけます。精霊たちに導かれるまま、過去、現在、未来の姿を観察し、これまでの無慈悲な生活を悔い改め、やがて、さまざまな人々との和解を果たします。

Illustrated by William Geldar

ディケンズほど、クリスマスに影響を与えた人物はいないだろうといわれている。ヴィクトリア朝時代前半には、クリスマスを祝う習慣は薄れてきていた。中世時代、クリスマスはキリストの誕生とともに、古代ローマ農業の神サチュルナリアとドイツの冬祭りユールを祝うものだった。しかし、オリバー・クロムウェルの下、清教徒はこの習慣を疑うようになりました。ディケンズの時代は産業革命真っ只中にあり、人々にはクリスマスを祝う余裕はありませんでした。

やがて、ロマンティックなクリスマスが、ヴィクトリア朝イングランドに復活することになります。この時代、アルバート王子は、ドイツよりクリスマスツリーを飾る習慣をイングランドに導入しました。1900年頃には消えかけていたクリスマスキャロルも蘇り、1840年代にははじめてクリスマスカードが誕生しました。しかし、これよりも最もこの復活に貢献したのは、ディケンズの「クリスマス・キャロル」(1843年)という本でした。この本のおかげで、英国、アメリカの人々はクリスマスを祝う楽しみを再び見出したのでした。ディケンズは、クリスマスを次のように描写しています。「親切心、赦し、癒し、慈悲の精神に満ち溢れた特別な時期。1年のなかでもこのときばかりは、男女がお互いに心を開き、階級の分け隔てなく同士としてお互いを迎える」まさに、この言葉こそが、クリスマス精神の真髄を表しているのではないだろうか。そのディケンズも1870年この世を去りました。このとき、ある少女が、「ディケンズがいなくなったら、サンタもいなくなるわね」といったほど、ディケンズはクリスマスと深い関係があるのです。

参考ホームページ

http://www.fidnet.com/~dap1955/dickens/christmas.html

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