航海王子エンリケとマデイラ

Portrait of Prince Henry,

with the young Afonso V.From the Polytriptych of St. Vincent

in the National Museum of Ancient Art, Lisbon

 

1385年ポルトガル王国が成立した。ポルトガル王子エンリケによる航海奨励とともに大航海時代の幕開けとなる。エンリケのまたの名を航海王子といい、その名の通り、1415年に世界初の航海学校を設立し、モロッコをはじめアフリカ西岸の探検を進め、海外進出政策をとった。そして1420年にはマデイラ諸島を発見する。先見の明があるエンリケは、マデイラ島をブドウ栽培地として開拓することに着手した。そこでマルバジア品種をこの地に送り、ぶどうの栽培を奨励した。こうしてエンリケの試みにより、これまでベニスの商人が独占していたワインも、マデイラ島という新天地で手に入れることが可能となった。それも、従来のワインに匹敵する品質が手に入るというわけで、早速イギリスはマデイラ島へ貿易の方向転換を図った。この頃より英語では、クレタのワインであるマルバジアはマームジーと呼ばれるようになった。