Jules Breton,The last
Gleanings
グラッパは、圧搾したぶどうを表す「グラスパ」という言葉が少し変形してできたイタリア語です。また、1545年に存在したある諷刺家のペンネームでもあります。当時グラッパは、歯痛止めだけでなく媚薬として重宝がられていたのです。この諷刺家はその時代の性的慣行を冷笑したので、そのあだ名がついたといわれています。当時カトリック教会では、聖母マリアは耳に受胎したという説をとりました。よって、公の場では耳を被うことが求められた時代でした
イタリアを代表するグラッパは、少なくとも1500年の歴史があります。イタリア北部の農民がワイン醸造で残った絞り粕をいろいろ工夫したなかから生まれたものがグラッパです。グラッパ行商人はスティルを抱えて村中をまわりました。また、辛い農作業や厳しい冬を乗り切るためにはなくてはならないものでした。
最近ではおしゃれなブランデー-として紹介されるようになりましたが、これまでは灯油のような味がするなど貧しい農民の飲み物であるという印象が強かったのです。ところが本場イタリアでは、グラッパは一日中登場します。まずは、朝一番のコレット。これはエスプレッソにグラッパを少し入れた飲み物です。トラトリアではタンブラーに入れて冷蔵庫で冷やしていつでも飲めるようにしています。夜はグロラで夕食の楽しい一時を締めくくります。グロラは、平らな木のボールの周りに飲み口がついた器のことで、グランマニェ、コーヒー、そしてグラッパを入れて火をつけ、しばらくして蓋をしてから、これを順に回し飲みします。